狙う1,000mタイムの半分が、モニターに置くべき500mスプリットです。4:00で終えたいなら2:00、5:00で終えたいなら2:30。漕ぎ出す前にこの1つの数字を決めてから座ります。HYROX公式ルールブック配布ページのシングルス版26/27では、距離は全区分共通で1,000m、ダンパーはレジスタンス6、フットプレートは位置4にプリセットされていると定められています。
数字を決めずに漕ぎ出すと、直前のバーピーブロードジャンプで上がった心拍のまま突っ込み、後半で落とすことになります。
この記事の要点

- 距離は1,000m、ダンパーはレジスタンス6、フットプレートは位置4にプリセット。どちらも公式ルールブックにより選手が調整してよいと定められています
- 1,000mが終わるまで座り続けます。立ち上がる、シートを離れる、マシンを降りることは、審判の完了確認があるまで認められていません
- 漕ぐのをやめてハンドルをホルダーに戻し、足をプレートに載せたまま、あるいは外して休むことは認められています
- 500mスプリットを2倍すれば1,000mのタイムです。コンセプト2公式のErg Pace Calculatorが示す式は
time = split × (distance/500)です - 公式が種目別の基準タイムを公表しているわけではありません。表は換算表であり、目標は自分の実測から決めます
- フォームと漕ぎ方はHYROXローイング完全攻略、着座ルールの詳細はHYROXローイング着座ルールにあります
対象読者
ローイングの1,000mで毎回後半に落ちる人、モニターの数字をどう使えばいいか決めていない人です。競技そのものが初めての方は先にハイロックス(HYROX)とはをご覧ください。
読了後にできること
目標の1,000mタイムから逆算して、漕ぎ始める前に狙う500mスプリットを1つの数字として決められます。
500mスプリットと1,000mタイムの換算表
コンセプト2のモニターは、いまの強度を「500mあたり何分何秒か」で表示します。1,000mはその2倍です。
下の表は、Erg Pace Calculatorが公開している time = split × (distance/500) と watts = 2.8/(split/500)³ に当てはめて計算した値です。ワットは小数第1位まで示しています。
スプリットを2倍するだけ
| 500mスプリット | 1,000mタイム | ワット |
|---|---|---|
| 1:40 | 3:20 | 350.0 |
| 1:50 | 3:40 | 263.0 |
| 2:00 | 4:00 | 202.5 |
| 2:10 | 4:20 | 159.3 |
| 2:20 | 4:40 | 127.6 |
| 2:30 | 5:00 | 103.7 |
| 2:40 | 5:20 | 85.4 |
| 2:50 | 5:40 | 71.2 |
| 3:00 | 6:00 | 60.0 |
スプリットが10秒変われば、1,000mでは20秒変わります。逆に言えば、目標タイムを20秒縮めたいときに必要なのは、スプリットを10秒上げることです。数字にすると、やるべきことが小さくなります。
スキーエルグの表と同じに見えて違うところ
換算式は同じですが、同じスプリットを出すときの体感はまったく違います。ローイングは脚が主役で、スキーエルグは上半身と体幹の比重が大きくなります。両方の表を同じ目標で埋めようとしないでください。スキーエルグ側の数字はHYROXスキーエルグのペース表にあります。
1,000mを250mずつ4つに割る

1,000mを通しで考えると、序盤で力んで終わります。公式ルールブックが全区分共通と定める1,000mを250mずつ4つに割って、それぞれの入り方を決めておきます。
| 区間 | 置くスプリット | ここでやること |
|---|---|---|
| 0〜250m | 目標より少し遅く | 呼吸を戻す。直前はバーピーブロードジャンプ |
| 250〜500m | 目標どおり | ストロークの長さを確かめる |
| 500〜750m | 目標どおり | 一番落ちやすい区間。数字を見て戻す |
| 750〜1,000m | 目標より少し速く | 残りを出し切る |
3番目の区間が落ちるのは、疲労よりも集中が切れるからです。モニターを見る回数を、この区間だけ増やします。
モニターを見る位置を決めておく
見るのは上の表の区切りだけ、と決めておくと、毎ストロークの微調整に気を取られずに済みます。見た結果が目標より遅ければ、ピッチを上げるのではなく、1ストロークで押す脚の力を戻します。
直前のバーピーブロードジャンプをどう持ち越すか
ローイングの前は80mのバーピーブロードジャンプです。上下動を数十回繰り返した直後なので、呼吸が最も乱れた状態でシートに座ります。ここをどう扱うかで、最初の区間が決まります。
| 持ち越し方 | 最初の250m | 起きること |
|---|---|---|
| そのまま突っ込む | 目標より速い | 500m過ぎで落ち、後半で取り返せない |
| 呼吸を戻してから入る | 目標より少し遅い | 750m以降で上げ直せる |
| 座って数秒止まる | 漕ぎ出しが遅れる | 呼吸は戻るが、止まった時間は返らない |
選ぶのは2行目です。座ってから漕ぎ出すまでの時間を延ばすのではなく、漕ぎながら呼吸を戻します。漕ぎ出しの数ストロークを、強く速くではなく、長くゆっくり引く形にすると、スプリットを大きく落とさずに呼吸が戻ります。
ROXZONEで整えておく
種目と種目の間の移動区間で、呼吸をある程度戻しておけば、シートに座ったときの状態が変わります。移動区間の使い方はROXZONE攻略にまとめています。
立ち上がらないことがルールの中心

ローイングのルールは、動作の形よりも「座り続けること」に集中しています。
- 開始前に審判がモニターをリセットします。数字はゼロから始まります
- 1,000mが終わるまでシートに座り続けます。ここが最大の制約です
- 途中で漕ぐのをやめてよいです。ハンドルをホルダーに戻し、足をプレートに載せたまま、あるいは外して休むことが認められています
- 1,000mが終わり、審判の確認を受けるまでマシンを降りません。立ち上がる、シートを離れる、降りることはこの段階まで認められていません
ペナルティ一覧では、1,000mを完了する前にローイングマシンを離れた場合、種目未完了として失格と定められています。休むこと自体は認められているのに、降りると失格になる。この違いを覚えてください。
休むなら座ったまま
息が上がりすぎたときに、反射的に立ち上がってしまう人がいます。ルール上はハンドルを戻して座ったまま休めます。降りる必要はありません。ペナルティ全体はHYROXの時間ペナルティ一覧にまとめています。
ダンパーとフットプレートの扱い
ルールブックは、ダンパーを全区分でレジスタンス6にプリセットしたうえで、選手が何度でも調整してよいとしています。フットプレートは全区分で位置4にプリセットされ、開始前に自分の好みの位置へ調整することが認められています。
本番で触るかどうかは、練習で決めておきます。当日に初めて動かすと、感覚が違ったときに立て直せません。ジムのマシンで6と4を基準にして測り、変える必要を感じたら、その設定で数週間練習してから本番に持ち込みます。
厚生労働省のe-ヘルスネット「運動プログラム作成のための原理原則」は「個別性の原則」として、実施内容を個人の能力に合わせて決めることを挙げています。設定も同じです。プリセットが全員に最適とは限りませんが、変えるなら練習で確かめてからにします。
練習でスプリットを上げる手順
- 1,000mを単独で1本漕ぎ、平均スプリットを記録します
- 同じ1,000mを、バーピーブロードジャンプの直後に漕ぎます。本番に近い数字が出ます
- 2つの差を見ます。差が大きければ、心拍が戻らないまま漕ぎ出しています
- 500mを目標より速いスプリットで漕ぐセットを入れます。休みを挟んで本数を決めます
- 数週間ごとに1,000mを測り直します
休みの長さと本数はこの記事では決めていません。e-ヘルスネットの「漸進性の原則」のとおり、向上に伴って強度と量を次第に高めます。同じページは運動のやりすぎが関節痛につながる可能性にも触れています。痛みがある場合は中止し、続く場合は医療機関に相談してください。この記事は医学的な判断を示すものではありません。
よくある質問
Q1. ダンパーは6のままがよいですか。
ルールブックは6にプリセットされていると定めたうえで、何度でも変更してよいとしています。まず6で測り、変えるなら練習で試してからにします。
Q2. 途中で手を止めてもよいですか。
認められています。ハンドルをホルダーに戻し、足をプレートに載せたまま、または外して休むことができます。ただし座ったままです。
Q3. 1,000mが終わったらすぐ降りてよいですか。
いけません。ルールブックは、1,000mが完了し、審判が完了を確認するまで立ち上がることもシートを離れることも認めていません。
Q4. フットプレートの位置は変えられますか。
位置4にプリセットされており、開始前に好みの位置へ調整することが認められています。
Q5. 目標のスプリットはどう決めますか。
バーピーブロードジャンプの直後に測った1,000mの平均スプリットを現在値とし、そこからわずかに速い数字を次の目標にします。総合タイムとの関係はHYROXのタイム目安まとめを参照してください。
Q6. ローイングは8種目のどこですか。
5番目です。順番はハイロックスの8種目一覧にまとめています。
Q7. 表のワットは何に使いますか。
スプリットと同じ強度を別の単位で見た数字です。モニターの表示をワットに切り替えて管理する人もいます。どちらか片方で足ります。
参考・出典
- HYROX 公式ルールブック配布ページ(シングルス版26/27の8.5 ROWING:距離1,000m、開始前の審判によるモニターのリセット、1,000m完了までの着座義務、ハンドルを戻して休むことの許容、完了確認までの降車禁止、ダンパーはレジスタンス6・フットプレートは位置4のプリセットと調整の許容、07 LEAVING ROWER EARLY の失格、2026年9月20日確認)
- Concept2 Erg Pace Calculator(
time = split × (distance/500)、watts = 2.8/(split/500)³の計算式、Indoor Rower/SkiErg が同じ式であること、2026年9月20日確認) - 厚生労働省 e-ヘルスネット「運動プログラム作成のための原理原則」(個別性の原則、漸進性の原則、運動のやりすぎと関節痛、2026年9月20日確認)
- HYROX 公式サイト The Fitness Race(8種目の順番とローイングの位置、2026年9月20日確認)
最終更新日: 2026年9月20日
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