ファーマーズキャリーでタイムを落とす場所は、直線ではなくターンです。HYROX公式ルールブック配布ページのシングルス版26/27では、この種目は距離200m、重量が女子Open 2×16kg(白)、女子Pro/男子Open 2×24kg(グレー)、男子Pro 2×32kg(黒)と区分ごとに定められ、200mを達成するための周回数は会場によって異なるとされています。
つまり、会場が変われば回る回数も変わるということです。周回が多いほどターンの回数が増え、1回ごとの減速が積み上がります。直線を速く歩くより、ターンで止まらないほうが効きます。
この記事の要点

- 距離は200m。重量は2×16kg/2×24kg/2×32kgと公式ルールブックが区分ごとに定め、色も白・グレー・黒と分かれています
- 200mを達成するために何周するかは会場によって異なります。選手が会場図を確認し、必要な周回数をこなす責任があるとルールブックが明記しています
- 移動している間は常に2個とも持ちます。両腕を体の横に伸ばした状態で運びます
- 置いて休むことは認められています。ただし、置くときにケトルベルが前へ動かないことが条件です
- 始まりは、種目の開始ラインの横にある印のついた箱からケトルベルを取り出すところです
- 終わりは、ケトルベルを持ってフィニッシュラインを越え、正しい箱へ、ハンドルが上を向いた状態で戻すところまでです
- 種目そのものの攻略はHYROXファーマーズキャリー攻略に譲り、この記事はターンと休み方に絞ります
対象読者
ファーマーズキャリーで周回のたびに失速する人、どこで休めばいいか分からない人、ケトルベルの戻し方でペナルティを取られないか不安な人です。競技そのものが初めての方は先にハイロックス(HYROX)とはをご覧ください。
読了後にできること
ターンの入り方と抜け方を3段の手順として持ち帰り、置いて休む場合の条件も満たせるようになります。
200mは何周かを先に確認する
公式ルールブックは、会場によっては200mを達成するのに複数の周回が必要になる場合があり、選手が会場図を確認して必要な周回数をこなす責任があると定めています。周回数の指定は書かれていません。
ここを当日まで確認しない人がいますが、周回数が分からないままだと、ターンの回数も分かりません。会場図を見る時点で、次の3つを決めておきます。
- 何周するか。数え間違えるとラップ不足になります
- ターンが何回あるか。周回数から逆算できます
- どのタイミングで数えるか。ターンのたびに数えるのが一番確実です
同じルールブックのペナルティ一覧では、ファーマーズキャリーのラップ不足は種目未完了として失格と定められています。ターンの回数を数えることは、タイムの問題ではなく完走の問題です。
数え方は声に出さなくてよい
指で数えるか、ターンごとに頭の中で数字を1つ進めるかを決めておきます。重いものを持って歩きながら暗算をしないでください。
ターンを3段で回る

ターンは「減速」「回る」「戻す」の3段です。1段ずつ目的が違います。
| 段 | やること | 崩れるとどうなるか |
|---|---|---|
| 減速 | 歩幅を小さくして速度を落とす | 遠心力でケトルベルが振れる |
| 回る | 内側の足を軸にして向きを変える | 外へ膨らみ、距離が伸びる |
| 戻す | 歩幅を元に戻して直線へ入る | 加速が遅れ、直線の前半を損する |
一番多い失敗は1段目を省くことです。速度を落とさずに向きを変えると、ケトルベルが外側へ振られます。振られたものを戻すために体幹を使うので、そこで余計に消耗します。
内側の足を軸にする
回るときに外側の足から回ると、体が外へ流れます。内側の足を先に置いて、その足を軸に向きを変えると、回る半径が小さくなります。ケトルベルは体の横にあるので、半径が小さいほど振れも小さくなります。
直線に入ったら歩幅を戻す
3段目を忘れると、ターンの後も小さい歩幅のまま歩き続けることになります。直線に入ったら、1歩目から歩幅を戻します。
歩幅と歩数で直線を組み立てる
ターンの外側、つまり直線では何を管理するのか。歩幅です。
重いものを持つと、多くの人は歩幅を広げて速く進もうとします。ところが歩幅を広げるほど、1歩ごとの上下動が大きくなり、ケトルベルが縦に揺れます。揺れたものを止めるのは握力です。結果として、速く歩いたぶんだけ握りが先に切れます。
| 歩き方 | 直線での速度 | 握りへの影響 |
|---|---|---|
| 歩幅を広げる | 速い | ケトルベルが縦に揺れて握りが早く切れる |
| 歩幅を狭めて歩数を増やす | やや遅い | 揺れが小さく、握りが最後まで残る |
| ターン前だけ歩幅を狭める | ターンで落ちない | ターンの前後だけ負担が下がる |
現実的なのは3行目です。直線の大半は自分の自然な歩幅で歩き、ターンの手前だけ歩幅を狭めます。全区間で狭めると、距離全体が間延びします。
縦の揺れを止める
歩き出す前に、ケトルベルを一度床すれすれまで下ろしてから持ち上げると、揺れの初期値が小さくなります。持ち上げた勢いのまま歩き出すと、最初の数歩ですでに揺れています。
置いて休むときの条件

ルールブックは、休むためにケトルベルを置くことを認めています。ただし条件があります。置くときにケトルベルが前方へ動かないことです。
| 認められる置き方 | 避けるべき置き方 | |
|---|---|---|
| 置く動き | その場に真下へ下ろす | 前へ放り出すように下ろす |
| 置いた後 | 位置が変わっていない | 前へ転がっている |
| 再開 | 同じ位置から持ち上げる | 進んだ位置から持ち上げる |
移動している間は常に2個とも持つことが求められているため、片方だけ置いて歩くことはできません。休むなら2個とも置きます。
休むより持ち替えのほうが現実的
実際には、完全に置くより、止まって握り直すほうが速く再開できます。ハンドルの握る位置を変え、指の位置をずらすだけでも、前腕の張りは一度抜けます。握力の鍛え分けはHYROXの握力強化メニューにまとめています。
なお、移動中は両腕を体の横に伸ばして運ぶことが求められています。肩に担ぐ、胸に抱えるといった持ち方は、この規定から外れます。
終わり方でペナルティを避ける
この種目は、終わり方に単独のペナルティが設けられています。
- ケトルベルを正しい場所に戻さなかった場合、またはハンドルが立った状態で置かれていない場合、30秒のペナルティです
- ただし、ROXZONEを出る前に戻って直せば、このペナルティは適用されません
- 区分と違う重量で全部または一部を行った場合、正しい重量でその種目全体をやり直す必要があります。やり直さなければ失格です
30秒はこの種目で唯一の「取り返せるペナルティ」です。走り出してから気づいたら、ROXZONEを出る前なら戻ってください。ペナルティ全体はHYROXの時間ペナルティ一覧にまとめています。
重量の取り違えは色で防げます。白が2×16kg、グレーが2×24kg、黒が2×32kgです。持ち上げる前に色を見る、という1動作を習慣にしてください。
練習で何を積むか
厚生労働省のe-ヘルスネット「運動プログラム作成のための原理原則」は「専門性の原則」として、その運動で使われる筋群を実際の活動様式に合わせて鍛えることを挙げています。ファーマーズキャリーの活動様式は、重さを提げたまま歩き、途中で向きを変えることです。
積む順番
- 区分の重量で直線を歩きます。まず本番の距離を止まらずに歩けるかを確認します
- 折り返しを入れます。直線を短くして折り返しの回数を増やすと、ターンだけを練習できます
- ターンの回数を数えます。本番の周回を数える練習を兼ねます
- チョークを使うかを決めます。本番でチョークが使えるのはスレッドプルとファーマーズキャリーだけです。大会が用意したものに限られます
同じページは「漸進性の原則」を挙げる一方、運動のやりすぎが腰痛などの関節痛につながる可能性にも触れています。重量を持って歩く種目は腰への負担が大きい動作です。痛みがある場合は中止し、続く場合は医療機関に相談してください。この記事は医学的な判断を示すものではありません。
よくある質問
Q1. 途中で置いて休んでよいですか。
認められています。ただし、置くときにケトルベルが前方へ動かないことが条件です。
Q2. 片方だけ置いて歩けますか。
できません。ルールブックは移動している間、2個とも持ち続けることを求めています。
Q3. 肩に担いでもよいですか。
両腕を体の横に伸ばして運ぶことが定められています。
Q4. 200mは何周ですか。
会場によって異なります。ルールブックは、会場図を確認して必要な周回数をこなすのは選手の責任だとしています。当日の会場図で確認してください。
Q5. ケトルベルを倒して置いたらどうなりますか。
正しい場所に戻さなかった場合、またはハンドルが立った状態でない場合は30秒のペナルティです。ROXZONEを出る前に戻って直せば適用されません。
Q6. 重量を間違えたらどうなりますか。
正しい重量でその種目全体をやり直す必要があります。やり直さない場合は失格です。色は白が2×16kg、グレーが2×24kg、黒が2×32kgです。
Q7. チョークは使えますか。
スレッドプルとファーマーズキャリーでのみ認められています。大会が用意したものに限られ、別の場所で使うと2分のペナルティです。
Q8. グローブは使えますか。
ルールブックの持ち込み可能な装備の一覧に「Gloves(グリップは不可)」が挙げられています。選び方はHYROXのグローブ・ソックス・小物ガイドを参照してください。
参考・出典
- HYROX 公式ルールブック配布ページ(シングルス版26/27の8.6 KETTLEBELL FARMERS CARRY:距離200m、重量2×16kg・2×24kg・2×32kgと色、周回数は会場により異なり確認は選手の責任、移動中は2個とも保持、両腕を体の横に伸ばす、置いて休むことの許容と前方へ動かさない条件、ハンドルを立てて正しい箱へ戻すこと、11 MISSING FARMERS CARRY LAP の失格、12 INCORRECTLY RETURNED KETTLEBELLS の30秒とROXZONE退出前の是正、13 INCORRECT WEIGHT の失格、17の チョーク規定、10.1の持ち込み可能装備、2026年9月20日確認)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「運動プログラム作成のための原理原則」(専門性の原則、漸進性の原則、運動のやりすぎと関節痛、2026年9月20日確認)
- HYROX 公式サイト The Fitness Race(8種目の順番とファーマーズキャリーの位置、2026年9月20日確認)
最終更新日: 2026年9月20日
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