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HYROXの握力強化メニュー|種目別の鍛え分け

HYROXの握力強化メニュー|種目別の鍛え分け

HYROXの握力強化とは、ファーマーズキャリー・スレッドプル・サンドバッグランジ・ローイング・スキーエルグで必要になる「握り続ける力」を、握り方の型ごとに分けて鍛えることです。

結論から言うと、HYROXで先に限界が来るのは握り込む力ではなく、同じ形で握り続ける力(保持系)です。握力計の数値を伸ばす練習と、200mケトルベルを落とさない練習は別物なので、鍛え分ける必要があります。

この記事の要点

握り込む力・握り続ける力・つまむ力の3つの型のうちHYROXで先に落ちるのが握り続ける力であることを示した図
先に落ちるのは握り続ける力
  • HYROX Singles Rulebook 26/27(公式PDF)によると、ファーマーズキャリーは200mで、重量はWomen 2×16kg、Women Pro/Men 2×24kg、Men Pro 2×32kgと区分ごとに定められています
  • 同ルールブックでは、ケトルベルは移動中つねに両方を持ち、両腕を体側に伸ばした状態で運ぶこととされています。休憩のために下ろすことは、置くときにケトルベルが前へ動かない限り認められています
  • サンドバッグランジは100m。サンドバッグは常に選手が完全に支える必要があり、地面・バリケード・足などに載せて荷重を逃がすと、1回ごとに15秒のペナルティが科されると記載されています
  • チョークの扱いには制限があります。同ルールブックでは、チョークはスレッドプルとファーマーズキャリーでのみ使用でき、大会が用意したものに限られます。それ以外の場所で使うと2分のペナリティ対象になるとされています
  • 筋力トレーニングの頻度については、厚生労働省のe-ヘルスネット「筋力トレーニングについて」で、健康増進効果が確認された研究の多くが週2〜3日のプログラムを採用していたと整理されています

対象読者

ファーマーズキャリーの後半で手が開く、スレッドプルでロープが滑る、サンドバッグを担ぎ直す回数が多い、といった形で握りに課題を感じている方。競技全体の流れはハイロックス(HYROX)とはにまとめています。

読了後にできること

自分の「手が開く」原因を握力・姿勢・持ち方の3つに切り分け、週2回の練習の終わりに入れる握力メニューを、種目と回数まで決められるようになります。

HYROXのどこで握力が要るのか

ファーマーズキャリー・スレッドプル・サンドバッグランジ・ローイングが求める握りの違いを並べた図
種目ごとに握りの質が違う

握力が問われる種目は1つではありません。求められる握りの性質が種目ごとに違います。数値はすべてシングルス区分の公式ルールブックの記載に基づきます。

種目 量 区分別の負荷 求められる握り
ファーマーズキャリー 200m 2×16kg/2×24kg/2×32kg 同じ形で握り続ける(保持系)
スレッドプル 50m(4×12.5m) 78kg/103kg/153kg(そり込み) 引く瞬間に強く握り、離してまた握る
サンドバッグランジ 100m 10kg/20kg/30kg 抱え込んで支える(腕全体)
ローイング 1,000m 共通 軽く保持し続ける
スキーエルグ 1,000m 共通 引き下ろす間だけ握る
ウォールボール 100回 4kg/6kg/9kg 受け止めて保持する

一番効くのはファーマーズキャリー

200mを一度も下ろさずに運び切れるかどうかが、握力の実力がそのまま出る場面です。ルールブックでは休憩のために下ろすこと自体は認められていますが、下ろす回数が増えるほど所要時間は伸びます。種目そのものの攻略はHYROXファーマーズキャリー攻略にまとめています。

スレッドプルは握り方が変わる

スレッドプルは、手繰り寄せるたびに握って離すを繰り返します。同じ形で握り続けるファーマーズキャリーとは、疲れ方の質が違います。詳しくはHYROXスレッドプル攻略ガイドを参照してください。

握力は3つの型に分かれる

握力という言葉は、実際には性質の違う力をまとめて指しています。

握り込む力(クラッシュ系)

手を強く閉じる力です。握力計で測られるのはおおむねこの力で、グリッパーを閉じる練習が対応します。HYROXではスレッドプルの引き始めなど、一瞬の強い握りで使われます。

握り続ける力(サポート系)

決まった形で握ったまま、時間や距離を持たせる力です。ファーマーズキャリーの200mはここに当たります。HYROXで先に落ちるのはほぼこの型です。

つまむ力(ピンチ系)

親指と他の指で挟む力です。HYROXの8種目で直接問われる場面は多くありませんが、前腕の使い方のバランスを整える目的で少量入れることがあります。

HYROXで優先するのはどれか

保持系が最優先、次にクラッシュ系、ピンチ系は補助です。握力計の数値が高いのに200mで手が開く人は、保持系の不足を疑ってください。

手が開く原因を切り分ける

手が開く原因を握力・姿勢・持ち方の3つに切り分ける判断の流れを示した図
原因は3つに分かれる

握力メニューを増やす前に、原因が本当に握力かを確かめます。

  1. 重量を1段階下げて同じ距離を運ぶ:形が保てるなら、握力より重量に対する総合的な余力の問題です
  2. 距離を半分にして同じ重量で運ぶ:楽に運べるなら、持久側の課題です。保持系メニューを増やします
  3. 鏡やスマートフォンで姿勢を確認する:肩がすくんでいる、上体が前に倒れている場合は、姿勢の崩れで腕が引かれ、握りが早く外れます
  4. 持ち方を変えてみる:ハンドルの中央を握れているか、指の付け根に引っかけて持てているかを確認します

姿勢側の課題が大きい場合は、握力よりHYROX体幹トレーニングメニューの内容が先になります。サンドバッグを落としてしまう場合は、担ぎ位置の問題が混ざっていることが多いのでHYROXサンドバッグを落とさない練習も確認してください。

週のメニューと積み上げ方

保持系・握り込み系・前腕の3種類を週2回の練習の終わりに積み上げる順番を示した図
練習の終わりに短く積む

握力の作業は、練習の頭ではなく終わりに置きます。先に前腕を疲れさせると、その日の主要な種目の質が落ちるためです。

レベル 頻度 保持系 握り込み系 前腕・手首
入門 週2回 30秒×3セット 週1回のみ 各20秒×2セット
中級 週2回 45〜60秒×3セット 週1回、10回×3セット 各20秒×2セット
上級 週2〜3回 本番重量で60秒以上×3セット 週1〜2回、8〜10回×3セット 各20〜30秒×2セット

厚生労働省のe-ヘルスネット「筋力トレーニングについて」では、負荷をかけたら休息日も設けること、慣れてきたら少しずつ負荷を高めること(漸進性過負荷の原則)、個人の特性に合わせること(個別性の原則)が挙げられています。一律の目標回数を全員に当てはめない、という考え方です。

保持系のメニュー

  1. ファーマーズホールド:本番と同じ重量のケトルベルかダンベルを両手に持ち、その場で立ったまま保持します。30〜60秒×3セット
  2. ファーマーズウォーク:同じ重量で25〜50mを歩きます。下ろさずに歩き切れる距離を毎週記録します
  3. デッドハング:鉄棒にぶら下がります。20〜40秒×3セット。肩をすくめず、肩甲骨を下げた位置を保ちます

握り込み系のメニュー

  1. グリッパー:閉じ切れる強度のものを10回×3セット。週1〜2回にとどめます
  2. タオルを使った懸垂の保持:鉄棒にかけたタオルを両手で握り、10〜20秒保持します

前腕・手首のメニュー

  1. リストカール/リバースリストカール:軽い重量で15回×2セット
  2. 前腕の伸ばし:四つ這いで手のひらを床につけ、指先を膝側へ向けて20秒

伸ばし方

保持系は「秒数」を、握り込み系は「重量または強度」を伸ばします。同時に両方を上げると疲労が抜けにくくなるので、2週ごとにどちらか一方を進めるやり方が続けやすい形です。プランへの組み込みはHYROX中級者向け10週間トレーニングプランやHYROX上級者向け12週間トレーニングプランも参考になります。

当日に使える補助とルールの確認

チョークとグローブが使える場所と使えない場所を左右で対比した図
使える場所が決まっている

握りを助ける道具には、大会ごとのルールが関わります。ここは断定せず、必ず最新の公式情報で確認してください。

項目 公式ルールブック(26/27シングルス)の記載
チョーク スレッドプルとファーマーズキャリーでのみ使用可。大会が用意したものに限られ、それ以外の場所で使うと2分のペナルティ
チョークの持ち出し ステーションから持ち出す、別の場所へ運ぶことは認められず、違反ごとに2分のペナルティ
ウォールボールでの粉チョーク 粉チョークを使用した場合は2分のペナルティ
グローブ 使用が認められる装備の一覧に「Gloves(gripsは不可)」として記載
一覧にない装備 明示的に許可されていないものは既定で禁止とされています
装備の受け渡し 使用する場合はスタートからフィニッシュまで自分で携行し、他者と受け渡ししないこと

グローブやソックスの選び方そのものはHYROXのグローブ・ソックス・小物ガイドにまとめています。規定は区分やシーズンで変わる可能性があるため、参加する大会の最新ルールブックを必ず確認してください(予定・要公式確認)。

よくある失敗

  • 握力メニューを練習の最初に入れる:前腕が先に疲れ、その日のローイングやスレッドプルの質が落ちます。終わりに置きます
  • グリッパーだけで鍛える:握り込む力は伸びても、200m持ち続ける力は別です。保持系を主役にします
  • 本番より軽い重量でしか練習しない:ルールブックの区分別重量を確認し、少なくとも月に数回は本番重量で保持します
  • 毎日握力を鍛える:前腕は回復に時間がかかります。e-ヘルスネットでも休息日を設けることが挙げられています
  • 下ろすことを禁じ手だと思い込む:ルールブックでは、ケトルベルが前へ動かない形であれば休憩のために下ろすことは認められています。落とさずに止まるほうが、落として拾い直すより速い場面もあります
  • サンドバッグを腕だけで支えようとする:サンドバッグランジは体の前面全体で抱える種目です。握力の問題として扱うと解決しません
  • 自分のチョークを持ち込む:大会提供のチョーク以外の使用はペナルティの対象と記載されています

よくある質問

Q. ファーマーズキャリーは途中で下ろしてもよいのですか。
A. 公式ルールブックでは、休憩のために下ろすことは、置くときにケトルベルが前方へ動かない限り認められています。ただしステーション終了時には、正しいボックスへ戻し、ハンドルが立った状態にしておく必要があり、これを怠ると30秒のペナルティが科されます。ROXZONEを出る前に戻って直せば適用されないと記載されています。

Q. 握力はどれくらいの頻度で鍛えればよいですか。
A. 厚生労働省のe-ヘルスネットでは、筋力トレーニングの健康増進効果が示された研究の多くが週2〜3日の頻度だったと整理されています。HYROXの準備でも、この頻度を目安に、練習の終わりに短く入れる形が組み込みやすくなります。

Q. グローブを着けてもよいですか。
A. 公式ルールブックの使用が認められる装備一覧には「Gloves(gripsは不可)」が含まれています。一覧にないものは既定で禁止とされているため、リストラップなど別の補助具を使いたい場合は、参加する大会の最新ルールブックで扱いを確認してください。

Q. チョークはどこでも使えますか。
A. 使えません。ルールブックでは、チョークの使用はスレッドプルとファーマーズキャリーに限られ、大会が用意したものだけが認められています。それ以外の場所での使用や、ステーションからの持ち出しは2分のペナルティ対象と記載されています。

Q. 握力計の数値が高いのに、レースで手が開きます。
A. 握力計で測られるのは握り込む力(クラッシュ系)で、200m運び続ける力(保持系)とは別の性質です。保持系のメニューを主役にして、秒数と距離で記録を取ってください。

Q. 握力を鍛えると、他の種目に悪い影響はありますか。
A. 直後の練習には影響します。同じ日にスレッドプルやローイングを高い強度で行う予定があるなら、握力の作業はその後に回してください。

Q. 自宅で握力を鍛えられますか。
A. ダンベルやケトルベルがあればファーマーズホールドは自宅でも行えます。器具がない場合の代替はHYROX自宅トレーニング完全ガイドにまとめています。

参考・出典

※ 重量・距離・使用可能な装備・チョークの扱いはシーズンや区分によって変更される場合があります。参加前に必ず公式の最新ルールブックをご確認ください(予定・要公式確認)。この記事は一般的なトレーニングの考え方をまとめたもので、医学的な効果を保証するものではありません。

最終更新日: 2026年9月11日

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