コンプロマイズドランとは、種目で脚と心拍に負荷がかかった状態で走ることを指す、HYROXの練習でよく使われる言葉です。公式サイトは「1km走り、続けて1つの種目を行い、これを8回繰り返す」形式と説明し、公式ルールブックシングルス版は走る距離を「合計8,000m、およそ1,000mの区間が8本」と定めています。8本のうち7本は、種目の直後に走ります。
結論から言うと、練習は「種目→1km」の組を作るところから始め、種目の種類、組の数、休みの長さの3つで負荷を変えます。この記事では、そのまま使える5つのセッション型を、本番の順番と距離に沿って組み立てます。ランの土台づくりと週間の設計はラン強化の入門記事で扱っており、この記事はその先のセッション集です。
この記事の要点

- 本番は1kmランと種目が交互に8回。走る距離は合計8,000mで、8本のうち7本は種目の直後に走る(公式ルールブックシングルス版)
- 種目の順番はスキーエルグ、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボール(公式サイト)
- 5つの型は、単発型、はしご型、脚重点型、後半再現型、通し半分型。負荷の軽い順に並ぶ
- 負荷を変えるのは種目の種類、組の数、休みの長さの3つ。距離は1kmのまま変えない
- 記録は1kmごとのタイムと、種目の直後の最初の200mの体感を残す
- 器具がないときは、置き換えの種目で「脚が重い状態」を作れれば型は成り立つ
対象読者
種目の練習はしているが本番で「走れなくなった」経験がある人、ラン練習と種目練習を別々にしていて組み合わせ方が分からない人、ジムでのセッションをそのまま使いたい人です。HYROXの全体像はハイロックス(HYROX)とは、8つの種目の順番と重量は8種目一覧を参照してください。
読了後にできること
自分の週の練習に5つの型のどれかを置き、種目の種類、組の数、休みの長さで負荷を調整しながら、1kmごとの記録を残して伸びを確かめられます。
なぜ種目のあとの1kmが別物になるのか

公式ルールブックシングルス版は「各区間はおよそ1,000mで、会場の配置によっては複数周回になり、最初や最後の周の長さが変わることがある」としています。1本目のランは体が新しい状態で走れますが、2本目以降は直前の種目で使った筋肉と上がった心拍を引きずります。公式サイトはスレッドプッシュについて「下半身、特に後ろ側の筋肉と体幹、太ももの前を使う」と説明しており、スレッドのあとの1kmが最も脚が重くなりやすい区間です。
ランコースは内側のファストレーンと外側のランニングレーンに分かれ、ルールブックは「1kmを4分以下のペースで走る人がファストレーンを使う」と定めています。多くの参加者は外側を自分のペースで走るため、練習でも「速く走る」より「崩れずに走る」ことを目標にします。周回の数え方は参加者自身の責任とされており、周回のルールはランコースのルールで解説しています。
5つのセッション型
型は負荷の軽い順に並べています。初めての人は型1から始め、崩れずに走れるようになったら次の型へ進みます。休みの長さは目安を書かず、自分の呼吸が落ち着くまでを基準にしてください。
| 型 | 構成 | ねらい |
|---|---|---|
| 型1 単発型 | 1つの種目→1kmラン。これを1組 | 種目直後の走り出しに慣れる |
| 型2 はしご型 | 種目→1kmを、種目を変えて3組 | 種目の違いで脚の重さが変わることを知る |
| 型3 脚重点型 | スレッドプッシュ→1km→サンドバッグランジ→1km | 最も脚が重くなる区間を再現する |
| 型4 後半再現型 | ファーマーズキャリー→1km→サンドバッグランジ→1km→ウォールボール | 本番の後半3種目とランの流れを再現する |
| 型5 通し半分型 | 種目→1kmを4組。本番の前半か後半のどちらか | 4kmと4種目を続ける持久力を作る |
型1 単発型|種目のあとの走り出しに慣れる
1つの種目を本番の距離か回数で行い、そのまま1kmを走ります。最初はスキーエルグ1000mかローイング1000m(公式サイト)から始めると、脚の重さより心拍の高さに慣れられます。走り出しの200mで歩幅が縮んでいないかを確かめてください。
型2 はしご型|種目を変えて3組
種目を変えながら「種目→1km」を3組行います。たとえばスキーエルグ→1km、バーピーブロードジャンプ80m(公式サイト)→1km、ローイング→1kmの順です。種目ごとに脚の重さが違うことが分かり、本番でどの区間を歩く判断にするかの材料になります。
型3 脚重点型|スレッドとランジのあとを走る
スレッドプッシュのあとの1kmと、サンドバッグランジのあとの1kmを組みます。スレッドの重量は自分の区分の公式値に合わせ、女子Openは102kg、男子Openは152kg、男子Proは202kg(いずれもそり込み)です(公式サイト)。ジムのそりと床の摩擦は会場と違うため、重量より「押したあとに走る」ことを優先します。スレッドの押し方はスレッドプッシュ攻略を参照してください。
型4 後半再現型|ファーマーズキャリーからウォールボールまで
本番の後半は、ファーマーズキャリー200m、1km、サンドバッグランジ100m、1km、ウォールボール100回の順です(公式サイト)。この流れをそのまま再現します。最後のウォールボールを割らずに終える配分はウォールボール攻略で扱っています。
型5 通し半分型|4kmと4種目を続ける
本番の前半(スキーエルグ、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ)か後半(ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボール)のどちらかを、1kmランを挟んで通します。全種目を通す練習は通しシミュレーションの組み方で扱っており、型5はその前段です。
週のどこに置くか

型1と型2は種目練習の日の最後に足せます。型3と型4は脚への負荷が大きいため、翌日に長い距離を走る日を置かない配置にします。型5は週の中で最も余裕のある日に置き、同じ週にもう1本の高負荷な練習を重ねないようにします。週全体の組み方は初心者向け8週間トレーニングプラン、筋トレとの両立はHYROXと筋トレは両立できる?、本番が近い時期の減らし方は直前期の調整プランを参照してください。
体調が悪い日や痛みがある日は型を下げるか休みます。痛みが続く場合は医療機関に相談してください。この記事は医学的な判断を示すものではありません。
記録の取り方
記録は2つだけ残します。1つは1kmごとのタイム、もう1つは種目直後の最初の200mの体感(走り出せた、歩幅が縮んだ、歩いた、の3段階)です。同じ型を2週間おきに繰り返し、同じ種目のあとの1kmが縮んでいるかを見ます。ウォッチでの計測はスポーツウォッチの選び方、記録の見方はリザルトの見方・分析法を参照してください。
器具がないときの置き換え
置き換えの目的は「脚が重い状態」か「心拍が高い状態」を作ることです。スキーエルグとローイングが無ければ、心拍を上げる種目(バーピー、縄跳び)で代用します。スレッドが無ければ、サンドバッグやプレートを抱えたランジで脚の重さを作ります。置き換えの一覧は自宅トレーニング完全ガイド、器具を揃える順番は自宅ジム器具リストで扱っています。ただし、スレッドプッシュは公式サイトが「レース前に一度は試しておく」と案内している種目なので(公式サイト)、本番前に実物を押せる施設を探してください。施設の探し方はジムの探し方を参照してください。
よくある失敗
- 距離を短くして組の数を増やした。本番の区間はおよそ1kmです(公式ルールブックシングルス版)。距離は変えず、組の数と休みで調整します
- 型3を連日入れた。スレッドとランジのあとの1kmは脚への負荷が大きく、回復が追いつきません
- 種目を軽くしすぎた。脚が重くならなければ練習の意味がありません。区分の重量に近づけます
- 速さだけを記録した。走り出しの200mの体感を残さないと、崩れの原因が分かりません
- 通し半分型から始めた。型1と型2で走り出しに慣れてからです
よくある質問
Q1. コンプロマイズドランは公式の用語ですか。
ルールブックにはない練習上の言葉です。公式の規定は「1kmランと種目を8回繰り返す」形式と、走る距離8,000mです(公式ルールブックシングルス版)。
Q2. 1kmは必ず走らないとだめですか。
練習では歩いてもかまいません。本番も完走の制限時間はありません。ただし距離は1kmのまま変えず、崩れずに進める感覚を作ります。
Q3. 週に何回入れればよいですか。
この記事では回数を決めていません。型1と型2は種目練習の最後に足せる軽さで、型3から型5は週の中で高負荷の日を分けて置きます。週全体は初心者向け8週間トレーニングプランを参照してください。
Q4. トレッドミルでもできますか。
できます。1kmの距離が測れれば型は成り立ちます。屋内の会場も周回コースなので、屋外で走るより感覚は近いです。
Q5. どの種目のあとが一番走りにくいですか。
人によりますが、公式サイトはスレッドプッシュが「下半身、特に後ろ側の筋肉と体幹、太ももの前を使う」としており(公式サイト)、スレッドとランジのあとを型3で重点的に練習します。
Q6. 種目の重量は本番と同じにすべきですか。
区分の公式値に近づけます。女子Openのスレッドプッシュは102kg、男子Openは152kgです(公式サイト)。ただしジムのそりと床は会場と違うため、重量より「押したあとに走る」ことを優先します。
Q7. 本番前の最後の週にもやってよいですか。
負荷の高い型3から型5は減らします。減らし方は直前期の調整プランを参照してください。
参考・出典
- HYROX 公式サイト The Fitness Race(1kmランと種目を8回繰り返す形式、種目の順番と距離、区分別の重量、スレッドプッシュが使う筋肉と事前に試す案内、2026年9月19日確認)
- HYROX 公式ルールブック配布ページ(走る距離8,000m、区間の周回構成、ファストレーンの4分/kmの基準、周回の数え方の責任、2026年9月19日確認)
- BYD HYROX Osaka 公式イベントページ(8×1kmのランと8種目という大会の形式、2026年9月19日確認)
最終更新日: 2026年9月19日
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