HYROXの自宅ジムとは、1kmのランと8種目で構成されるレースのうち、家の中で再現できる種目を選んで器具を揃えた練習環境のことです。全8種目をそのまま自宅に持ち込むことはできません。
結論から言うと、自宅で再現できるのは8種目のうち実質4種目で、まず揃えるべきはケトルベルとサンドバッグ、次にエルゴ、スレッドは最後です。この記事は「器具なしで代用する」話ではなく、「買うとしたら何をいくらで、どこに置くのか」を決めるための購入ガイドです。器具を使わない代替エクササイズはHYROX自宅トレーニング完全ガイドにまとめています。
この記事の要点

- 自宅で無理なく再現できるのはウォールボール(天井高が足りる場合)、サンドバッグランジ、ファーマーズキャリー、バーピーブロードジャンプの4種目です。スレッドプッシュとプルは距離と床の条件から、ほぼ再現できません
- 重量は区分で決まっています。HYROX Singles Rulebook 26/27(公式PDF)では、ランジのサンドバッグが10kg/20kg/30kg、ファーマーズキャリーが2×16kg/2×24kg/2×32kg、ウォールボールが4kg/6kg/9kgです。本番と同じ重さを選べば、ジムに行かなくても重量感覚は合わせられます
- ウォールボールのターゲット高は女子・女子プロが2.70m、男子・男子プロが3.00mと規定されています。一般的な住宅の天井では届かないため、「自宅では高さを下げてフォームだけ合わせる」と割り切る前提になります
- エルゴ2台(スキーエルグ・ローイング)を入れると設置面と予算が一気に変わります。日本の正規販売ページの表示では、スキーエルゴがスタンド付きで220,000円(税込)、ローエルゴのスタンダードが192,500円(税込)です(いずれも2026年9月11日時点・送料別)
- 買う順番は「重量物 → エルゴ → 大型」です。先にエルゴを買うと、床が埋まって重量物の置き場が消えます
対象読者
ジム通いと並行して自宅にも練習環境を作りたい人、これから器具を買おうとしていて予算の配分に迷っている人です。競技そのものが初めての方はハイロックス(HYROX)とはからどうぞ。
読了後にできること
自分の部屋の床面積・天井高・搬入経路をもとに、買う器具と買わない器具を仕分けし、予算帯ごとの構成を選べるようになります。
8種目のうち、自宅で再現できるのはどれか
まず仕分けます。ここを飛ばして買うと、使わない器具が残ります。
| 種目 | 本番の条件 | 自宅での可否 | 必要なもの |
|---|---|---|---|
| スキーエルグ 1,000m | 専用エルゴ | 器具があれば可 | スキーエルゴ |
| スレッドプッシュ 4×12.5m | 重量そりを50m押す | ほぼ不可 | 直線12.5mと専用床 |
| スレッドプル 4×12.5m | ロープでそりを引く | ほぼ不可 | 直線12.5mと専用床 |
| バーピーブロードジャンプ 80m | 前方へ跳ぶ | 条件つきで可 | 床の直線2〜3mと階下への配慮 |
| ローイング 1,000m | 専用エルゴ | 器具があれば可 | ローイングエルゴ |
| ファーマーズキャリー 200m | 2個のダンベルを運ぶ | 条件つきで可 | ケトルベルまたはダンベル2個 |
| サンドバッグランジ 100m | 担いで前進 | 可 | サンドバッグ1個 |
| ウォールボール 100回 | 規定高のターゲットへ投げる | 条件つきで可 | メディシンボールと高さ |
「条件つき」が3つあります。バーピーブロードジャンプは前方へ跳ぶため直線が要り、集合住宅では着地音が問題になります。ファーマーズキャリーは200mを直線で歩けないので、往復か、その場での保持時間に置き換えます。ウォールボールは天井高です。
距離が確保できない種目の扱い
自宅でファーマーズキャリーをやる場合、10mの往復20回で200mに合わせる方法と、重量を持って立っている時間(保持)に置き換える方法があります。握力の持ち方はファーマーズキャリー攻略ガイドに譲りますが、器具の選定としては「本番と同じ重量が2個ある」ことが最優先です。
買う順番は重量物・エルゴ・大型の3段階

予算を分割するなら、この順番が失敗しにくいです。
- 第1段階:重量物。サンドバッグとケトルベル(またはダンベル)2個。本番と同じ重量を選べば、この時点で2種目が再現できます
- 第2段階:ウォールボール用のメディシンボール。天井高の条件を満たす場合のみ。満たさない場合はここを飛ばします
- 第3段階:エルゴ1台。スキーエルゴかローイングエルゴのどちらかです。両方を同時に買うより、先に1台で置き場と騒音を確かめるほうが安全です
- 第4段階:エルゴ2台目。1台目の運用が定着してから検討します
逆にやりがちなのが、最初に大型のエルゴを買って部屋を埋め、サンドバッグを床に置けなくなるパターンです。重量物は床を占有しない一方でエルゴは動かせません。順番の理由はここにあります。
器具ごとの重量・設置条件・価格の目安

金額は2026年9月11日時点で各正規販売ページに表示されていた価格です。変動するため、購入前に必ず公式ページで確認してください。
| 器具 | 本番の規定 | 設置・スペースの条件 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|
| サンドバッグ | 10kg/20kg/30kg | 床置き。転がらないので隙間に置ける | 数千円〜2万円台(製品による) |
| ケトルベル2個 | 2×16kg/2×24kg/2×32kg | 床の耐荷重と落下対策が必要 | 2個で1万円台〜(重量による) |
| メディシンボール | 4kg/6kg/9kg | 投げる方向の壁と天井高 | 1万円前後〜(製品による) |
| スキーエルゴ | 1,000m | 壁掛け時は幅48.3cm・奥行40.6cm・高さ212cm、フロアスタンド使用時は幅61cm・奥行132cm・高さ215.9cm | スタンド付き220,000円(税込・送料別) |
| ローイングエルゴ | 1,000m | 本体は全長244cm・幅61cm。使用時に必要なスペースは274cm×122cm、収納時は63.5cm×83.8cm×137.2cm | スタンダード192,500円(税込・送料別) |
| そり(スレッド) | 4×12.5mを2種目 | 直線12.5mと専用の床材 | 自宅向けには非現実的 |
エルゴを置くときに見落としやすい寸法
ローイングエルゴは、日本の正規販売ページによると本体だけで全長244cm、使用時には274cm×122cmが必要とされています。畳2枚弱の床が、使っていない時間も含めてほぼ専有されます。折りたたんで収納した場合でも137.2cmの高さが必要です。
スキーエルゴはスキーエルゴの仕様ページによると、壁掛けなら奥行40.6cmで収まる一方、高さは212cm(フロアスタンド使用時は215.9cm)あります。ハンドルの静止位置は190cmの高さで、引き切った最下点は床から約40cmです。つまり、天井の低い部屋や梁のある位置には入りません。
天井高・床・搬入・騒音の4条件

器具を選ぶ前に、部屋の側の条件を確定させます。
- 天井高:ウォールボールのターゲット高は規定で女子・女子プロが2.70m、男子・男子プロが3.00mです。住宅の一般的な天井高では満たせません。自宅では「規定高では投げられない」と前提を置き、投げる高さを下げてスクワットと立ち上がりの連動だけ合わせる形になります。フォームの詳細はウォールボール攻略ガイドを参照してください
- 床:ケトルベルやサンドバッグを落とせば、床材と階下の両方に影響します。ジョイントマットを敷く、置く位置を梁の上にするなどの対策が要ります
- 搬入経路:ローイングエルゴは出荷時の梱包が1箱で142cmあります。階段・玄関・エレベーターの寸法を先に測ってください
- 騒音:エルゴのファン音と、バーピーの着地音が二大要因です。集合住宅では時間帯を決めるだけでは足りない場合があります
集合住宅で優先すべき構成
天井高と騒音の制約が強い場合、エルゴを買わずに「サンドバッグ+ケトルベル2個+マット」で止めるのが合理的です。エルゴの1,000mは、ジムかフィットネスクラブの機器で月に数回触れば感覚は保てます。ジムの探し方はHYROX公式認定ジムとはにまとめています。
予算帯別の構成例

どこで区切るかの目安です。金額は器具本体のみで、マット類と送料は含みません。
| 予算帯 | 構成 | 自宅で再現できる種目 |
|---|---|---|
| 3万円前後 | サンドバッグ1個、ケトルベル2個 | ランジ、キャリー、バーピー |
| 5万円前後 | 上記にメディシンボールとマット | 上記に加えてウォールボールのフォーム練習 |
| 25万円前後 | 上記にエルゴ1台 | 上記に加えてスキーまたはローイングの1,000m |
| 45万円以上 | 上記にエルゴ2台目 | ランを除く実質6種目 |
45万円以上の構成でも、そりの2種目は自宅では埋まりません。ここは最後までジムか会場でしか練習できない部分として残ります。スレッドの押し方はスレッドプッシュ攻略ガイドで扱っています。
買わなくていいもの・後回しでよいもの
- 専用のHYROXシューズを自宅練用に追加で買う:屋外のランと会場用で足ります。自宅での室内練習に専用シューズは要りません
- 重量可変式の細かいダンベル:本番は区分ごとの固定重量です。可変式より、本番と同じ重量のケトルベル2個のほうが再現度が高くなります
- バーベルとラック:あれば筋力づくりに使えますが、8種目の再現には直接つながりません。優先度は最後です
- 心拍計以外の計測機器:まず心拍と時間が取れれば十分です
よくある失敗
- エルゴから買って床が埋まる:使用時274cm×122cmという数字を、買う前に床に養生テープで描いて確かめてください
- 本番と違う重量を買う:16kgと24kgでは持ち方そのものが変わります。出場予定の区分の重量に合わせます
- 天井高を測らずにメディシンボールを買う:規定高に届かないこと自体は問題ありませんが、「規定と同じ練習をしている」と誤解したまま本番を迎えるのは危険です
- 搬入経路を測らない:玄関で止まると返送になります
- 買って満足し、週の計画に組み込まない:器具より先に、週何回どの種目をやるかを決めてください。計画の型はHYROX 12週間トレーニングプランが参考になります
よくある質問
Q. 自宅の器具だけでHYROXを完走できますか?
A. 完走に必要な体力は自宅でもかなりの部分まで作れますが、そりの2種目は再現できません。本番前に一度はそりのある施設で押して引いておくことを勧めます。
Q. ケトルベルとダンベルのどちらを買うべきですか?
A. 本番はダンベル形状ですが、自宅での保持練習という目的ではどちらでも成立します。重量を本番と同じにすることのほうが重要です。
Q. 天井が2.4mしかありません。ウォールボールは諦めるべきですか?
A. 規定高では投げられませんが、スクワットの深さと立ち上がりの連動、呼吸のリズムは低い高さでも練習できます。高さの部分だけをジムで補う形にしてください。
Q. エルゴはスキーとローイングのどちらを先に買うべきですか?
A. 苦手なほうを先に買うのが原則です。どちらも苦手なら、置き場の制約が小さいほう(壁掛けができるならスキーエルゴ)から入ると設置の失敗が減ります。
Q. 中古で買っても問題ありませんか?
A. 消耗部品の交換歴と保証の有無を確認してください。エルゴはモニターと駆動部の状態で使い勝手が変わります。正規の取り扱いページには交換部品も掲載されています。
Q. マンションで飛ぶ種目をやっても大丈夫ですか?
A. 階下への影響があるため、時間帯とマットだけで解決するとは限りません。跳ぶ種目は屋外や施設に回し、自宅は保持と担ぐ種目に寄せる判断も現実的です。
Q. 器具を揃えたら、ジムに行かなくてよくなりますか?
A. そりと規定高のウォールボール、他の選手と同じ空間で追い込む経験はジムでしか得られません。月に1〜2回は施設で実機に触れる前提で組むほうが安全です。
参考・出典
- HYROX Singles Rulebook 26/27(公式PDF)(各種目の距離・重量・ターゲット高)
- コンセプト2 ローエルゴ スタンダード(日本の正規販売ページ)(価格・寸法・必要スペース)
- コンセプト2 スキーエルゴ 仕様ページ(寸法・重量・ハンドル位置)
- コンセプト2 スキーエルゴ 製品一覧(日本の正規販売ページ)(価格・付属品)
- HYROX Japan 公式サイト(国内大会の案内)
最終更新日: 2026年9月11日
当サイトはHYROX™の非公式ファンメディアです。HYROXはUpsolut Sports AGの商標です。