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HYROXと筋トレは両立できる?週の組み方

HYROXと筋トレは両立できる?週の組み方

HYROXと筋トレの両立とは、どちらかを減らして折り合いをつけることではなく、同じ週の中で置く順番と間隔を決めることです。筋トレをしている人がHYROXの準備を始めるとき、多くは「走る量を増やすために筋トレを半分にする」判断をしますが、それは遠回りになりがちです。

結論から書きます。筋トレの回数は減らさず、1回あたりの総セット数と、走りとの間隔を先に決めてください。 HYROXの8種目のうち5種目は重りを押す・引く・運ぶ・投げる動作であり、区分によってはランジ30kg、ウォールボール9kg、ファーマーズキャリー2×32kgを扱います(シングル公式ルールブック26/27・2026年9月9日確認)。筋力は削る対象ではなく、そのまま持ち込む資産です。

この記事の要点

  • HYROXが求めるのは最大筋力そのものではなく、疲れた状態で出せる筋力と、荷重して移動し続ける力
  • 筋トレの回数(週2〜3回)は維持し、1回の総セット数と補助種目の数で調整する
  • 同じ日に置くなら先に筋トレ、後に有酸素が基本。長いランと重い下半身は同日に詰めない
  • 週3・週4・週5でそれぞれ型がある。週3でも両立は成立する
  • レースが近づいたら削るのは筋トレの回数ではなく総量(セット数)と補助種目

対象読者

ウェイトトレーニングを1年以上続けていて、HYROXに出ようと考えている人。逆に、HYROXの練習で筋力が落ちてきたと感じている人。

読了後にできること

自分の週の練習を、筋トレを削らずにHYROX向けへ組み替えられます。レースが近づいた時に、何から減らすかの順番も決まります。

HYROXが求める「筋力」の正体

まず、必要な力の質を分けます。HYROXで問われるのは1回だけ持ち上げられる最大重量ではありません。ランを挟みながら、すでに疲れた状態で、決められた重量を決められた距離だけ動かし続ける力です。

種目 ウィメンズオープン メンズオープン/ウィメンズプロ メンズプロ 求められる力の質
スレッドプッシュ 4×12.5m 102kg(そりを含む) 152kg 202kg 下半身の押す力と前傾姿勢の維持
スレッドプル 4×12.5m 78kg(そりを含む) 103kg 153kg 背中と股関節の引く力、握力
ファーマーズキャリー 200m 2×16kg 2×24kg 2×32kg 握力と体幹の抗回旋、荷重歩行
サンドバッグランジ 100m 10kg 20kg 30kg 片脚の支持力と股関節の耐久
ウォールボール 100回 4kg 6kg 9kg しゃがんで立つ動作の反復耐性

数字を見ると分かるとおり、重量そのものは筋トレ経験者にとって重くありません。難しいのは、それが8kmのランの合間に現れることです。だから鍛える対象は「最大重量」ではなく、その重量を扱っても心拍が跳ね上がらない余裕になります。競技の全体像はHYROXとはで確認できます。

力の質を3つに分けて考える

  • 土台の最大筋力:スクワット、デッドリフト、プレス系。ここが低いと、スレッドやランジの1回1回が全力になる
  • 運搬と保持の強さ:ファーマーズキャリー、ラック保持、握力。距離が伸びるほど効いてくる
  • 持久的な筋力:ウォールボールやランジのように、同じ動作を疲れた状態で反復する力

筋トレ経験者は土台がすでにあるので、伸ばすのは2番目と3番目です。土台を削ってまで走る必要はありません。

HYROXで必要になる力の3層
HYROXで必要になる力の3層

同じ日に置くなら順番と間隔を決める

同じ日に長い有酸素と重い筋トレを詰め込むと、後にやったほうの質が落ちやすくなります。現場ではよく知られた話ですが、必ずそうなると決まっているわけではありません。確実なのは、先にやったほうが優先されるという運用上の事実です。だから「その週で伸ばしたいほう」を先に置きます。

目的 同日の順番 間隔の目安
筋力を伸ばしたい週 筋トレ → 短い有酸素 有酸素は20〜30分に抑える
走力を伸ばしたい週 ラン → 上半身の筋トレ 下半身の重量は別日へ
両方を維持したい週 筋トレ → 種目練習 同日にランは入れない
時間が取れない日 どちらか片方だけ 中途半端に両方やらない

避けたいのは、長いランと重い下半身を同じ日に置くことです。翌日に残り、その週の残りが崩れます。走りの設計そのものはラン強化の解説に譲りますが、HYROXのランは種目の後に走るため、単独のラン練習より疲労が抜けにくい点だけ覚えておいてください。

同じ日の並べ方を変える
同じ日の並べ方を変える

週3・週4・週5の型

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」情報シート:筋力トレーニングについてでは、成人に対して筋トレを週2〜3日行うことが推奨されています。健康づくりの基準ではありますが、「週2〜3回」という頻度はHYROX準備期の下限としても使いやすい線です。この頻度を守ったまま、量のほうを動かします。

週の回数 筋トレ ラン・有酸素 種目練習
週3 全身2回(下半身寄り1・上半身寄り1) 1回(種目の後に走る形で) 筋トレの後半に組み込む
週4 2回 1〜2回 1回(通し練習に近い形)
週5 3回(うち1回は軽い日) 2回 1回

週3の型は、筋トレ2回のうち1回の後半に種目練習を混ぜ、もう1回は純粋な筋トレにします。週3でも両立は成立します。 むしろ週5で全部を伸ばそうとして、どれも中途半端になるほうが多い失敗です。プランの土台が欲しい人は12週間プランを骨格に使い、筋トレの日を差し替える形が扱いやすくなります。

オフシーズンとレース期で配分を変える

同じ週3回でも、大会が遠い時期と近い時期では中身を変えます。年間を通して同じ配分を続けると、レース期に疲労が抜けず、オフシーズンには筋力が伸び切りません。

時期 筋トレの比重 ランの比重 種目練習
大会が3か月以上先 高い(重量を伸ばす) 低〜中(土台の距離) 月1〜2回、動作の確認だけ
大会まで2か月前後 中(重量は維持) 中〜高(種目の後に走る形) 週1回、区間を区切って
大会まで3週以内 低(総量を落とす) 中(量より強度の確認) 通しは1回まで

レース期に筋トレの比重を落とすのは、筋力を落とすためではなく、疲労を抜くためです。回数は週2回のまま、セット数と補助種目を削るという形で調整してください。年間に複数の大会を入れる人は、年間レース計画の立て方で山の数を先に決めてから、この表を当てはめると崩れにくくなります。

週の練習が回る順番
週の練習が回る順番

種目別の補強リスト

筋トレのメニューを、HYROXの種目に効く形へ寄せます。既存の種目を全部入れ替える必要はなく、補助種目を2〜3個だけ差し替えるのが現実的です。

HYROXの種目 効く補強 量の目安(レンジ)
スレッドプッシュ ブルガリアンスクワット、レッグプレス、坂道の速歩 3〜4セット×8〜12回
スレッドプル ベントオーバーロウ、ラットプルダウン、ローププル 3〜4セット×8〜12回
ファーマーズキャリー ダンベルキャリー、デッドハング、ラックキャリー 3〜4セット×30〜60秒
サンドバッグランジ ウォーキングランジ、ステップアップ、ラック保持での歩行 3セット×20〜40歩
ウォールボール フロントスクワット、サンダースロー、高回数スクワット 3セット×15〜25回
バーピーブロードジャンプ 立ち幅跳び、ヒップヒンジのジャンプ系 3セット×5〜8回

握力が先に切れる人は、ファーマーズキャリーの練習量ではなく保持時間の合計で管理してください。距離を伸ばすより、30〜60秒の保持を回数で積むほうが安全に伸びます。個別の攻略はファーマーズキャリー攻略にまとめています。

レースが近づいたら何から削るか

大会が近づくと、走る量を増やしたくなって筋トレを丸ごと外す人がいます。順番が逆です。削るのは回数ではなく総量で、次の順で減らします。

  1. 補助種目の数(1回のメニューから2〜3種目減らす)
  2. 総セット数(各種目1セットずつ減らす)
  3. 限界まで追い込むセット(余力を2〜3回残して終える)
  4. 重量(ここまでやっても残るなら最後に落とす)

この順で減らすと、筋力の感覚を保ったまま疲労だけ抜けます。直前期の具体的な調整はテーパリングの解説に譲りますが、筋トレをゼロにする週を作らないという一点だけは共通です。

よくある失敗

  • 筋トレを半分にして走る量を倍にする:スレッドとランジで削った筋力の分だけ時間を失います
  • 同じ日に長いランと重いスクワットを置く:翌日が潰れ、週全体の質が落ちます
  • 高回数だけに寄せる:ウォールボール対策で高回数へ振り切ると、スレッドで押せなくなります
  • 握力対策を後回しにする:ファーマーズキャリーとスレッドプルは握力から切れます。補強は早い時期から
  • 通し練習を毎週やる:8種目の通しは疲労が大きく、週1回でも多すぎることがあります。月1〜2回で十分です

FAQ

Q. 筋トレの重量が落ちてきました。走りすぎでしょうか?
A. まず順番を確認してください。ランの後に筋トレをしている日が続いていると、重量は落ちます。同じ週でも「筋トレの日」の前日に長いランを置かないだけで戻ることが多いです。

Q. ベンチプレスなどの上半身は必要ですか?
A. 8種目の中で純粋な上半身の押す動作はありませんが、SkiErgとスレッドプル、ウォールボールで肩と背中は使います。上半身を切る必要はなく、プレス系は維持、引く系は増やすという配分が合います。

Q. 除脂肪を優先すべきですか、それとも筋量ですか?
A. HYROXは荷重して移動する競技なので、体重が増えればランと自重の負担も増えます。ただし筋量を落とすとスレッドとランジで時間を失います。体重は動かさず、走力と持久的な筋力を上げるのが遠回りに見えて速い道です。減量と両立させたい場合は減量とタイムの両立を参考にしてください。

Q. クロスフィットをやっていれば筋トレは別途必要ですか?
A. 高回数の動作は十分に入っているので、不足しやすいのは長い距離のランと、荷重して歩く動作です。競技としての違いはHYROXとクロスフィットの比較にまとめています。

Q. 週2回しか時間が取れません。両立できますか?
A. できますが、優先順位を決める必要があります。1回を筋トレ+種目練習、もう1回をランに充て、種目の通し練習は月1回に絞る形が現実的です。

Q. 重量を上げるべきか、回数を増やすべきか迷います。
A. スレッドで止まる人は重量、ウォールボールやランジで止まる人は回数です。レースのどこで止まったかを基準に決めてください。 決められない場合は、8〜12回で組んだ基本の重量を維持しつつ、補強のほうを高回数にすると両方に効きます。

Q. 筋トレの日にランを入れないと、走る量が足りません。
A. 種目の後に走る形(コンプロマイズドランニング)を筋トレの後半に短く入れると、走行距離を増やさずにレースに近い刺激が取れます。長い距離は別日に確保してください。

参考にした情報源

セット数やレップ数のレンジは一般的なトレーニングの目安であり、公式が定めた基準ではありません。持病や痛みがある場合は、負荷を上げる前に医療者へ相談してください。区分と重量はシーズンごとに改定される場合があるため、出場前に公式の記載を確認してください。

最終更新日: 2026年9月9日

当サイトはHYROX™の非公式ファンメディアです。HYROXはUpsolut Sports AGの商標です。

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