HYROXリレーとは、4人1組のチームで8kmのランと8種目を分担し、1人が1kmのランを2本と、それに対応する2種目を担当する団体戦の形式です。区分はウィメンズ・メンズ・ミックスの3つがあります。
結論から書きます。リレーの練習で最も見落とされるのは、分担しても1人あたりの負荷は「軽い個人戦」にならないという点です。種目は4人で割るのではなく、担当した人が100回のウォールボールも200mのファーマーズキャリーも1人で全量こなします。だから練習の中心はあくまで個人の走力と種目の完遂力で、チーム練習はそこに交代の型を足すためのものです。そして順番の決め方には、公式ルールが許している範囲の中で4つの型があります。
この記事の要点
- 1人が担当するのは1kmのラン2本と種目2つ。種目は分割されず全量を1人でこなす
- どのランとどの種目を誰が担当するかは完全にチームの自由(公式ルールブックに明記)
- 1人が2本続けて走る「連続2本型」は認められているが、種目を終えるたびにトランジションゾーンを走り抜けないと自動でペナルティになる
- 交代はハイタッチで行い、次の走者は直前まで入場できず、終わった走者はすぐに退出する
- 最後のウォールボールは、残る3人が指定の入口から入って4人そろってフィニッシュラインを越える
対象読者
これからリレーに出る4人チーム、または人数を集めている段階の人。ダブルスとの違いを知りたい人にも使えます。
読了後にできること
自分たちの区間割りを4つの型から選び、本番までの合同練習で何を確認すべきかを具体的に決められます。
リレーで公式に決まっていること
まず、練習の設計より先に「動かせない条件」を押さえます。以下はすべてリレー公式ルールブック26/27の記載に基づきます(2026年9月8日確認)。
| 項目 | 公式の内容 |
|---|---|
| チーム構成 | 4人。女性4人/男性4人/女性2人と男性2人の3通り |
| 区分 | ウィメンズ・メンズ・ミックスの3区分 |
| 1人あたりの担当 | 1kmのラン2本と、対応する種目2つ |
| 担当の決め方 | どのラン・どの種目を誰がやるかはチームの自由 |
| 年齢区分 | アンダー40と40歳以上の2区分。4人の平均年齢で決まる |
| 計測チップ | リレーは4個(1人1個・足首に装着) |
| 人数 | 4人そろわない状態でのスタートは認められない |
年齢区分が平均で決まるのは実務上けっこう効きます。ルールブックの例では、24歳・38歳・48歳・40歳の4人なら平均37.5歳でアンダー40になります。40歳以上の区分を狙うなら平均を40以上にする必要があるので、メンバー構成の段階で計算しておいてください。
種目の重量はルールブックの表で女子・男子の2列が示されています。オープン区分と同じで、スレッドプッシュは女子102kg・男子152kg(いずれもソリ込み)、スレッドプルは女子78kg・男子103kg、ファーマーズキャリー200mは女子2×16kg・男子2×24kg、サンドバッグランジ100mは女子10kg・男子20kg、ウォールボール100回は女子4kg・男子6kg、スキーエルグとローイングは各1000mです。ミックス区分で各メンバーにどちらの列が当たるかは、ルールブックの表からは断定できません。 エントリー後の案内で必ず確認してください(要公式確認)。
競技そのものの構造はHYROXとは、区分の全体像はカテゴリー解説にまとめています。

区間の割り当ては4つの型から選ぶ
「誰がどの種目をやるか」は自由なので、逆に決め方に迷います。実際に選択肢になるのは次の4つです。
| 型 | 並べ方 | 向いているチーム | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 連続2本型 | 1人が2セット続けて担当し、交代は3回だけ | 走力と回復力の差が大きい | 種目を終えるたびにトランジションゾーンを走り抜ける必要がある |
| 1本ずつ型 | 全員が1セットずつ回り、2周目でもう1セット | 力量が近い4人 | 交代が7回あるため、待機位置の管理がいる |
| 前後半分割型 | 2人で前半4セット、2人で後半4セットを担当 | 当日の合流が遅れる人がいる | 後半担当の待機時間が長く、体が冷える |
| 得意種目優先型 | 苦手を避けて種目から先に割り当てる | 種目の得意不得意がはっきりしている | ランの担当が偏り、走力の弱い人に2本続くことがある |
連続2本型については、ルールブックに重要な注意があります。1人が続けてランと種目を行う場合でも、各種目を終えたあとにトランジションゾーンを走り抜けて計測チップを読ませなければならず、これを怠ると自動でペナルティになります。 「交代しないのだからそのまま次へ行けばいい」という発想が最も事故を起こします。
もうひとつ、種目の並び順は固定です。スキーエルグ、スレッドプッシュ、スレッドプル、バーピーブロードジャンプ、ローイング、ファーマーズキャリー、サンドバッグランジ、ウォールボールの順で、順序を違えると3分のペナルティ、2つ以上違えると失格です。得意種目優先型で組むときほど、当日の並びを紙に書いて全員が同じものを持ってください。

交代の練習がいちばんリターンが大きい
個人の走力を1か月で大きく変えるのは難しいですが、交代は数回の練習で確実に速くなります。ルールブックが定める手順は次のとおりです。
- 走り終えたメンバーが種目を終え、トランジションゾーンに走り込む
- 待機していた次のメンバーとハイタッチする
- ハイタッチが済んだら次のメンバーがランに出る
- 終えたメンバーは混雑を避けるためすぐにゾーンから出る
加えて、次の走者は交代の直前にしかゾーンに入れず、ゾーン内での待機や滞留は認められていません。 「いつ入るか」をチームで決めておかないと、入るのが早すぎて注意を受けるか、遅すぎて交代で止まるかのどちらかになります。目安として、担当者が種目の残り3分の1に入ったら移動を始める、といった合図をひとつ決めておくと安定します。
合同練習では、これを本番に近い形で通してください。種目→ゾーン走り抜け→ハイタッチ→ラン開始の一連を、疲れた状態で5回繰り返すだけで動きが変わります。ROXZONEでの動き方の考え方はROXZONE攻略が参考になります。

フィニッシュは4人で越える
見落とされやすいのが最後の段取りです。ルールブックでは、4人目が8本目のランに出てゾーンを離れたあと、残る3人は指定された観客用の通路を通ってウォールボール会場へ向かい、「Relay Entry Point」と表示された入口から入ると定められています。
入場が許されるのは4人目がウォールボールを始めてからです。入ったら真っ直ぐ担当者のところへ行き、リグの下に立って支えます。そして100回を終えたら、4人そろって走ってフィニッシュステージへ向かい、チームとしてラインを越えます。
ここは事前に会場図を見ておかないと、当日ほぼ確実に迷います。3人が移動を始めるタイミングと、集合場所を決めておいてください。
ダブルスとの違いを混同しない
リレーとダブルスは別のルールです。よく混ざるので分けておきます。
| 項目 | リレー(4人) | ダブルス(2人) |
|---|---|---|
| 走り方 | 1人ずつが担当区間を走る。他の3人は待機 | 2人が一緒に1000mを走る |
| 離れたとき | 該当規定なし(交代制のため) | 片方が先行すると1分のペナルティ |
| 累積 | ― | 一緒に走らないペナルティが3回を超えると順位が付かない扱いになる |
| 種目 | 担当した1人が全量を行う | 2人で分担して行う |
ダブルスの「一緒に走る」規定は、秒数で線引きされているものではありません。ルールブックの記載は「片方が先行した場合に1分のペナルティ」「3回を超えると順位が付かない」というもので、それ以外の数値基準は確認できていません。SNSなどで具体的な秒数が語られることがありますが、公式で確認できない範囲は要公式確認として扱ってください。ダブルスの組み立て方はダブルス戦略に分けて書いています。
種目を割り振るときに効く判断材料
型を決めたら、次は「この2種目を誰に置くか」です。感覚で決めると当日ぶれるので、判断材料を並べておきます。
- スレッドプッシュとスレッドプル: 体重と押す力がそのまま出ます。4人の中で最も体格のある人に片方を置くと安定します。両方を同じ人に集めると、ラン2本ぶんの余力が残りません
- ウォールボール100回: 8種目の最後に来ます。担当者は疲労した状態で100回を終える必要があるため、連続でつなげられる回数が最も多い人に置きます
- バーピーブロードジャンプ80m: 全身が消耗します。この直後にランが来る割り当てにすると、ペースが大きく落ちます
- ファーマーズキャリー200m: 所要が短い種目です。走力が最も高い人にここを置くと、その人にラン寄りの負荷を集められます
- サンドバッグランジ100m: 脚が残っているかどうかで所要が変わります。前半に置けるなら前半へ
- スキーエルグとローイング: 上位帯でも中央値との差が出にくい種目です。ここに得意な人を置くより、苦手な人を置いて損失を抑えるほうが総合では効きます
チームの中で「誰が何を担当したか」を練習のたびに変えると、本番までに誰も自分の2種目に習熟しません。3〜4週前には固定するのが現実的です。
4人の練習をどう合わせるか
全員が毎回そろう必要はありません。むしろ合わせすぎると個人の弱点が埋まりません。
| 練習の種類 | 頻度の目安 | 中身 |
|---|---|---|
| 個人練(走) | 週2〜3回 | 1km×4〜6本のインターバル。担当2本ぶんを想定した設定 |
| 個人練(種目) | 週2回 | 自分の担当種目を全量で通す。分割せずに終える練習 |
| 合同練 | 2週に1回 | 交代の通し。本番の並び順どおりに1周する |
| 通し確認 | 本番3〜4週前に1回 | 8セットを本番の割り当てで最後まで通す |
合同練が月2回でも、交代の型が固まっていれば十分です。個人練の中身はランニングトレーニングと各種目の攻略記事に譲ります。担当が決まったら、その2種目だけを深く詰めるのがリレーの効率的な進め方です。初参加チームの当日の空気感はウィメンズリレー初挑戦レポートが参考になります。
当日の運用チェックリスト
- 4人分の計測チップを受け取り、全員が足首に装着したか確認する(位置が違うと記録が無効になる場合がある)
- リストバンドを見える位置に着ける
- 割り当て表を4人が同じ内容で持つ(種目の順番も書いておく)
- スタート時刻を腕に見える形で書く
- スタート10分前にスタートトンネル前へ集合する
- ゾーンへ入るタイミングの合図を全員で確認する
- 3人がウォールボール会場へ移動する導線を、事前に歩いて確認する
持ち物側の準備はレース当日チェックリストと重ねて使ってください。
よくある失敗
- 連続2本のときにゾーンを通らない: 自動ペナルティの対象です。続けて行う場合も必ず走り抜けます
- 種目の順番を思い込みで進める: 順序違反は3分、2つ以上で失格です
- 待機の3人がゾーンに早く入る: 滞留は認められていません。入場は交代の直前だけです
- 種目を「4人で分ける」と誤解する: 分けるのは8セットであって、100回のウォールボールは担当者が1人で終えます
- 平均年齢を数えずに年齢区分を選ぶ: 4人の平均で決まります。1人だけ若いと区分が変わります
- ウォールボール会場への移動を当日考える: 指定入口があります。会場図で先に確認してください
FAQ
Q. HYROXリレーは1人あたりどれくらい走りますか?
A. 1kmのランを2本、合計2kmです。加えて対応する種目を2つ担当します。種目は分割されないため、担当したウォールボールは100回すべてを1人で行います。
Q. 誰がどの種目を担当するかは決まっていますか?
A. 決まっていません。公式ルールブックには、どのランとどの種目を各メンバーが担当するかは完全にチームの自由と記載されています。順番だけは固定で、種目1から8の順に進みます。
Q. 1人が続けて2セット走ってもよいですか?
A. 認められています。ただし、種目を終えるたびにトランジションゾーンを走り抜けて計測チップを読ませる必要があり、これを怠ると自動でペナルティになります。
Q. リレーの年齢区分はどう決まりますか?
A. アンダー40と40歳以上の2区分で、4人の平均年齢で判定されます。年齢は大会当日の年齢が基準です。
Q. ミックス区分では重量はどうなりますか?
A. ルールブックの重量表は女子・男子の2列で示されていますが、ミックス区分で各メンバーにどちらが適用されるかはその表からは断定できません。エントリー後の案内や大会側の説明で確認してください。
Q. 交代はどうやって行いますか?
A. トランジションゾーンでハイタッチをして交代します。次の走者は交代の直前にしか入場できず、終えた走者は混雑を避けるためすぐに退出します。
Q. フィニッシュは1人で越えるのですか?
A. 4人そろって越えます。4人目がウォールボールを始めたあと、残る3人が指定の入口から入って支え、100回を終えたら全員で走ってフィニッシュラインへ向かいます。
Q. 4人そろわない場合はスタートできますか?
A. できません。ルールブックに、4人そろわない状態でのスタートは認められないと明記されています。
参考にした情報源
- HYROX リレー公式ルールブック 26/27(チーム構成・分担・トランジションゾーン・ペナルティ・フィニッシュ手順・2026年9月8日確認)
- HYROX ダブルス公式ルールブック 26/27(一緒に走る規定と累積の扱い・2026年9月8日確認)
- HYROX Japan 公式FAQ(受付・計測チップの案内・2026年9月8日確認)
- HYROX 公式結果ポータル(区分表記と結果の確認先・2026年9月8日確認)
重量・区分・ペナルティの内容はシーズンごとに改定される場合があります。出場前に必ず最新の公式ルールブックと大会からの案内を確認してください。ミックス区分の重量の当てはめ方は本記事の時点で公式に確認できていないため、要公式確認として扱っています。
最終更新日: 2026年9月8日
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